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韓国的オンニとの出会い

韓国語を習ったり、韓国に何度か行ったりしていると、じんわり心に残る出会いがあります。今回は、今までわたしが出会った人の中で、ある愛すべき「オンニ」(女の人が年上の女の人を呼ぶ時につかう言葉。「お姉さん」ぐらいの意味)について、書いてみたいと思います。

わたしが、「オンニ」と慕う人とは、夫の紹介で出会いました。夫とオンニは、オンニが日本で学生生活を送っていた時に知り合った、といいますから、もう10年来の知人です。昨年の初夏、オンニが仕事の関係で東京に来た時に、夫とオンニは、短い時間ながらも、久しぶりに話をすることができたのです。「妻が、8月に韓国へ短期留学するんだよ」と夫が言うと、「それなら韓国で必ず紹介してね」と言ってくれたのだそう。そして8月になり、韓国へ短期留学したわたしの元に、夫が夏休みを利用して韓国へやって来ました。その時に、以前約束したとおり、オンニと会うことになりました。

待ち合わせ場所は、わたし達の行きつけ、キョボムンゴ(教保文庫、韓国最大級の書店。約1000坪)の日本語書籍コーナー前です。さて、なぜ待ち合わせをキョボムンゴにしたかというと、どうも漢江から南はなじみがないので、自分達が慣れている場所がいいね、という理由だったのです。韓国で高収入・高感度の人間が住んでいるのは「江南(カンナム)」という、いわゆる漢江から南に広がる地域に住んでいるとされていますので、「江北(カンブク)」大好きなわたし達はもしかして「旧世代」もしくは「ダサい」人間なのかもしれません。

「こんにちは」――いよいよ、オンニの登場です。ぱっと見たときの印象は、小柄で細い、でもしっかりしていそうな韓国美人、というものでしたが、この日の最後、インサドンに行った時に、いきなり「「わ~、私インサドンに来たの、2年ぶり! Gさん(夫の名前)、私を案内してね」と、本物のソウルっ子とは到底思えない発言をされ、駄目押しで強烈な印象をわたしに与えてくれました。オンニはカンナムに住んでいるので、普段は、友達と会うのも、買い物をするのも、全てカンナムで済ませるのだそう。だから、カンブクのほうには、よほど何かないと来ないとのこと。しかも、そういうカンナムの人は、オンニだけでなく結構多い、ということは後で知ったのですが、その時はびっくりしました。でも、東京でだってこういうことは言えるかもしれません。「住んでるのは二子玉川だから、青山とかせいぜい渋谷しか行かない」

追い討ちをかけるように、オンニは「カンブクに来るときは、絶対ブランド物(のバッグ)は持たないわ」と言います。「何で?」と聞くと「カンブクでそんな物持ってると、「国が大変なときにそんなもの持って...」という顔をされるから。カンナムではそんなことないから持つけどね」となどとのたまいます。実際、初めてあった時にオンニが持っていたバッグはじみ~な黒のバッグ、後にアックジョンドン(日本でいえば青山)で会った時はルイ・ヴィトン。彼女にとっての「ソウル」と、わたしが思っている「ソウル」とはずいぶん違うんだな、と実感したと同時に、初めて会うわたしに向かって、自らの明晰さを隠すこともなく話をする、いっそすがすがしい感じのするこの女性に、大変好感と興味を持ちました。

わたしは、こんなふうにしてオンニに出会ったのです。次回は初めてオンニと会った日に行った、ソデムンの刑務所跡でのお話です。


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